2025年10月1日水曜日

TNF阻害薬投与下リウマチ妊婦さんへのRSウイルスワクチン

RSウイルスワクチンのポイントの整理

< RSウイルスワクチンと妊婦への適応>

接種時期は 妊娠24~36週の間 とされ、母体を介して移行抗体を胎児に渡し、生後6か月までの乳児をRSウイルス感染から守ることが目的。

<リウマチ患者さんでの特別な考慮点>

免疫抑制薬の使用状況 がポイント。

ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤を使用していても、このワクチンは 不活化ワクチン) なので、基本的に禁忌ではない。

ただし免疫抑制状態では 抗体産生がやや弱まる可能性 はある。

妊婦自身の重症RSV感染を防ぐためというよりは、赤ちゃんを守ることが主目的 なので、母体側の免疫抑制による有効性低下がどの程度かはまだ十分データがない。

<安全性>

海外での大規模試験では、妊婦への安全性に大きな懸念は報告されていない。

ただし妊娠後期の早産リスクについては議論があり、承認時に注意喚起されている。→ そのため 妊娠24~36週 に限定されている。


妊娠中のTNF阻害薬のポイント生理

<エタネルセプトと妊娠後期>

TNF阻害薬の中でもエタネルセプトはIgG1-Fc融合タンパクで、妊娠後期に胎盤を通過する。

出生児の血中にも薬剤が検出されるため、生後しばらくは 生ワクチン接種を避ける必要 があり、免疫抑制児 と扱う必要がある。

<免疫抑制児とRSウイルス>

生後早期の免疫抑制児は 重症感染症リスクが高い。特にRSウイルスは乳児にとって重篤化の原因となり、入院リスクも高まる。母体の妊婦RSワクチン接種の意義が強いかも。

<各国ガイドラインの推奨>

EULAR(2020年妊娠とRA管理の推奨)

Etanercept is considered acceptable for use during pregnancy. It is relatively safe even in the later stages of pregnancy, but discontinuation after 32 weeks of gestation should be considered if possible to reduce potential risks

エタネルセプトは妊娠中の使用が許容される。妊娠後期も比較的安全だが、可能なら妊娠32週以降は中止を考慮。

ACR(2020年リウマチと妊娠のガイドライン)

Etanercept may be used throughout pregnancy including the late stages if disease control requires it. Continuing therapy until delivery can be considered in cases where disease flare risk outweighs potential fetal risks.

エタネルセプトは妊娠後期まで使用可能。病勢コントロールを優先して出産直前まで使用してもよい。

日本リウマチ学会(JCR, 妊娠・授乳とリウマチ性疾患の管理)

エタネルセプトは妊娠全期間で使用可能薬に分類。出産直前まで使用しても大きな奇形や流産のリスク増加はない。

先頭打者ホームランというわけにはいかなかったけれども、長崎の光の中で未来の背中を追い始めた

朝いちばんの発表が終わった瞬間、胸の奥の霧がふっと晴れた。 半年分の緊張が、出島メッセの裏口にそっと置き忘れてきた荷物みたいに、気づけばそこにない。 同じ会場では、僕より二回りほど年上の先生たちが、外来と生活のすきまから丁寧に紡いだ研究をまっすぐ発表していた。 白い光の中で揺るが...