2025年9月7日日曜日

専門医更新、深夜のひとりカンファレンス

専門医の更新という作業は、思った以上に時間がかかる。
20人の症例、ひとつひとつまとめていく。
パソコンの画面には文字列が積み重なり、僕はただそれを追いかける。

カルテを読み返していると、あのときの選択は本当に正しかったのか、と考える瞬間がある。薬の選択や経過。ふと立ち止まって調べものもしたりする。

単なる事務作業のはずが、気がつけば内省の時間だ。

患者さんの経過をまとめるということは、自分の診療の経過を振り返ることでもある。あのとき迷ったこと、うまくいったこと、思いがけない転機になったこと。電子カルテの中には、患者さんの人生の断片と、僕自身の判断の足跡が同居している。

夜は静かに深まっていく。外の暗さと、パソコンの白い光のコントラストがはっきりしてくる。時計を見ると驚くほど時間がたっているが、不思議と疲労感は少ない。

専門医の更新は制度的なものにすぎないかもしれない。でも、こうして過去を振り返り、調べ、書き残す過程は、思った以上に示唆に富んでいる。未来に進むために、静かに足元を照らすような作業だ。

夜がふけていく。
けれど、その深さは不思議と心地いい。
あと少しでまとまる。

先頭打者ホームランというわけにはいかなかったけれども、長崎の光の中で未来の背中を追い始めた

朝いちばんの発表が終わった瞬間、胸の奥の霧がふっと晴れた。 半年分の緊張が、出島メッセの裏口にそっと置き忘れてきた荷物みたいに、気づけばそこにない。 同じ会場では、僕より二回りほど年上の先生たちが、外来と生活のすきまから丁寧に紡いだ研究をまっすぐ発表していた。 白い光の中で揺るが...