2025年9月15日月曜日

前もって提示していても、診療時間をかえるのは気が重い

 「土曜日の第一セッションには入らないだろう」――そう思っていた自分の考えが甘かったと知ったのは、日程が確定したときだった。

よりによって朝イチ。避けられると思っていた時間に、あっさりと予定を置かれてしまった。

結局、金曜の夜に動くしかない。16時に診療を終える。

今のところ、患者さんの予定を大きく変える必要はない。

けれど、金曜の夜に受診を考えていた人には前もって伝えておかねばならない。僕の都合で診療時間を削るのは、どう言い繕っても気が重い。

新幹線で羽田へ向かう道すがら、窓の外に流れる街灯がやけに冷たく見える。

「甘い考えでしたね」

それでも、夜の長崎行きに乗るしかない。

先頭打者ホームランというわけにはいかなかったけれども、長崎の光の中で未来の背中を追い始めた

朝いちばんの発表が終わった瞬間、胸の奥の霧がふっと晴れた。 半年分の緊張が、出島メッセの裏口にそっと置き忘れてきた荷物みたいに、気づけばそこにない。 同じ会場では、僕より二回りほど年上の先生たちが、外来と生活のすきまから丁寧に紡いだ研究をまっすぐ発表していた。 白い光の中で揺るが...