「もしこの人が別の薬を使っていたら─」
たとえば「アクテムラ」や「ケブザラ」という薬を使っている人たちを集めて、どんな変化があったのかを比べる。それだけでは、ほんとうにフェアな比較にはなりません。
僕たちが本当に知りたいのは、
「この人が別の薬を使っていたら、どうなっていただろう?」という問い─
つまり、反実仮想だからです。
同じ薬を使っているように見えても、ある人は最初にこの薬を使い、ある人は別の薬のあとにたどり着いている。それだけで、体の中で起きていることは、まったく違ってきます。
だから僕は、「最初にアクテムラやケブザラを使った人」だけを対象に、慎重に比較を始めています。
もしもこの人が、別の薬を選んでいたら──その「もしも」を真剣に考えることこそ、未来の医療に近づくための、静かな第一歩なのだから。
【2025年臨床リウマチ学会総会へ向けて-10】