2025年5月20日火曜日

対象者の選定

 「対象者をだれにするか」が、すべてを決める。医学の研究というと、どんな薬を使ったか、どんな検査をしたかに目が向きがちですが、本当に大切なのは「誰を調べたか」という最初の一歩となります。
 元気な人だけを集めて「副作用が少ない」と言っても、体調の不安定な人には当てはまらないかもしれません。最初の「対象の選び方」で、結論が大きく変わってしまうのです。それがずれてしまうと、どれだけ精密に数を数えても、どんなに立派な統計を使っても、研究結果はどこか“いびつ”なものになってしまうのです。
 Epidemiology an introductionでは「測定や分析がどれだけ正確でも、誰を選んだかがずれていれば、結果はゆがむ。」僕たちが向き合うのは、一人ひとりの現実。エビデンスをつくるときにはその一人ひとりの現実をどう紡ぐか。

 【2025年臨床リウマチ学会総会へ向けて-09】

先頭打者ホームランというわけにはいかなかったけれども、長崎の光の中で未来の背中を追い始めた

朝いちばんの発表が終わった瞬間、胸の奥の霧がふっと晴れた。 半年分の緊張が、出島メッセの裏口にそっと置き忘れてきた荷物みたいに、気づけばそこにない。 同じ会場では、僕より二回りほど年上の先生たちが、外来と生活のすきまから丁寧に紡いだ研究をまっすぐ発表していた。 白い光の中で揺るが...