2025年4月29日火曜日

lipid paradox

 最近、患者さんに「先生、コレステロールの薬、やめられると思ったのに、上がってますけど…?」と、残念そうに言われました。その方は関節リウマチで、炎症を抑える新しい薬(IL-6阻害薬)を使いはじめたばかり。

痛みはすっと楽になった。朝のこわばりもなくなった。でも、血液検査を見てみると――LDLコレステロール、つまりいわゆる“悪玉”が、しっかりと上がっている。

これは決して珍しい現象ではなくて、僕たちの間では「リピッドパラドックス(Lipid paradox)」と呼ばれていたりします。

炎症が強いと、コレステロールは抑え込まれて見える。逆に、炎症が静まると、体が本来の姿を取り戻すように、コレステロールがふわっと上がってくる。

体って、ほんとうに不思議です。

今回は、この現象について、ちゃんと数字で確かめてみようかなと、今、小さな研究を考えています。

といっても難しいことをするわけではなく、

「この薬を使うと、平均でどれくらいコレステロールが上がるのか?」

「どれくらいの期間で変化が落ち着くのか?」

を、のばなクリニックで診ている患者さんの記録を振り返ってまとめてみようという、ささやかなものです。

もちろん、コレステロールが上がったまま放っておいていいという話ではなくて、炎症が落ち着いたあとの「次の課題」として、心臓や血管のリスクを見直していくことも、とても大切ですよね。

「今のあなたにとって、このコレステロールは、本当のあなたなのコレステロールなのか。」――それを判断する材料のひとつとして、この研究が役に立てばいいなと思っています。

ぼんやりと、そんなことを考えていました。

【2025年臨床リウマチ学会総会へ向けて-02】

2025年4月27日日曜日

目標設定

臨床リウマチ学会総会が11月に開かれるので、そちらに目標を定めました。

誰かに急かされたわけでも、

大きな声で宣言するようなものでもないけれど、

自分の中でそっと手を挙げるように、決めました。

あわただしい日々の合間、

まだ見えない形を探りながら、

少しずつ、少しずつ進めていきます。

この場所に、その足跡を残していけたらと思います。

【2025年臨床リウマチ学会総会にむけて-01】

「足りないものを、足りないままにしてはいけない」——副腎と関節の話

なんとなく、という言葉は不思議だ。 なんとなく疲れる、なんとなく食欲が出ない、なんとなく朝がつらい——そういう“なんとなく”の体調不良は、いつも言葉の後ろに小さく居座っていて、明確な病名を持たずにただ、そこにいる。 関節リウマチという病気は、名前だけは強そうだけれど、その実、地味...